手外科

診察日時 毎週月曜日・火曜日
受付時間 午前8時30分~11時
初診(火曜日) 紹介状の持参をお願いします。
再診(月曜日) 予約制

はじめに

当院の手外科診療班は肘関節から指先までの上肢疾患を中心に治療と研究を行っています。広島大学手外科班は津下健哉名誉教授が開設され、日本の手外科の先駆けとして発展してきました。また微小外科(マイクロサージャリー:手術用顕微鏡を使用し小さな血管や神経を縫合する技術)は生田義和名誉教授により世界に先駆けて開発、発展してきました。このように歴史ある当院の手外科班では、子供の先天的な疾患に対する形成術から外傷による手指切断をはじめ、外傷や腫瘍切除後の組織欠損に対する再建まで幅広く治療を行っています。近年では内科でおなじみの超音波装置の改良、発展に伴い、整形外科領域でも超音波検査が盛んに行われるようになってきました。当院では他施設に先駆けて手外科領域に超音波検査を導入し、正確な術前診断や術後評価に利用しております。また、手指、手関節、肘関節に対する手術では関節鏡を積極的に使用しており、津下名誉教授の時代からの伝統である「低侵襲な検査・手術」を行うように心がけています。現在の治療スタッフは中島祐子(H。10卒)、四宮陸雄(H。13卒)、兒玉祥(H。15卒)の3名の手外科専門医を中心に大学院生を加え、世界の最先端を行く治療と研究を行うべく日夜健闘しています。

治療対象

新鮮外傷

マイクロサージャリー手技の必要な切断された指や腕の再接合を積極的に行っています。また、重度な四肢開放骨折もマイクロサージャリーや創外固定器を駆使して治療します。

外傷後機能障害

外傷の後遺症として残存した欠損、変形や運動障害などの機能障害の再建を行っています。マイクロサージャリー手技を駆使して体の他の部位からの骨や皮膚、筋肉、関節移植などの組織移植を行います。

末梢神経障害

手のしびれの原因として手根管症候群(親指から薬指のしびれ)や肘部管症候群(薬指と小指のしびれ)が占める割合は比較的高く、手根管症候群は手首で、肘部管症候群は肘部で神経が障害されることにより生じます。これらの病気は重症化する前に手術を行ったほうが良い場合も多く、手のしびれでお困りの場合は受診をお勧めします。また、突然、肘周囲に痛みを生じ、手指の麻痺を生じる神経障害(特発性前・後骨間神経麻痺)があることがわかってきました。原因は不明ですが、麻痺を生じている神経にくびれが生じていることが多く、これが麻痺の原因になっている可能性があります。当科では超音波検査を用い、早期診断・早期治療を行っております。

変性疾患

指や手首の変形や変形により動きの悪くなった肘関節に対して積極的に治療を行っています。手指の関節変性へは当科で開発した創外固定器を使用し、人工関節以外の方法で治療を行っています。また、低侵襲な関節鏡視下手術を積極的に行っています。

腫瘍

手に生じる腫瘍性病変には悪性のものは極めて稀ですが、手の中は複雑な構造をしているために良性腫瘍の切除にも専門的知識と技術が必要です。手の本来の機能を損なうことなく切除できるように、最新の3DCT検査やMRI、超音波検査を行い、入念な術前計画を立て、患者さんに安全で最適な治療を行っています。

先天異常

大学病院という特殊性から、私たちが手術をさせていただく患者さんの約3割の患者さんは先天異常の方です。長年の積み重ねから、患者さんにとって一番最適な方法が何かを考え、マイクロサージャリー手技や骨延長術(骨を長くする)、新しい人工材料の使用などを併用し治療させていただいています。

スポーツ障害

子供さんから成人の方までのスポーツに関連した肘や手の障害に対して、積極的に治療を行っています。特にいわゆる野球肘といわれる関節の軟骨が損傷される病気に対しては正常に近い関節を再建するために、膝からの軟骨移植術を行っています。