研究
当科の主な研究内容
研究代表者 | 応募種類 | 研究課題 | |
---|---|---|---|
安達 伸生 | 科学研究費助成事業 | 基盤研究(B)(一般) | miRNAを含むMSC-細胞外小胞による腱修復機構を基盤にした新規治療法の開発 |
砂川 融 | 科学研究費助成事業 | 基盤研究(C)(一般) | 思い通りに動かせる手を再獲得するために主観的評価をシナジー解析で客観的に捉える |
中前 敦雄 | 科学研究費助成事業 | 基盤研究(C)(一般) | 膝前十字靭帯再建術後の完全なスポーツ復帰を目指した多施設共同研究 |
中佐 智幸 | 科学研究費助成事業 | 基盤研究(C)(一般) | 変形性関節症における骨棘軟骨を用いた新規軟骨再生医療の確立 |
中前 稔生 | 科学研究費助成事業 | 基盤研究(C)(一般) | 骨粗鬆症を介した腰椎椎体終板障害の機能解明および新たな治療戦略の確立 |
一般社団法人 日本損害保険協会 2024年度 交通事故医療一般研究助成 |
microRNAを介した腰椎椎体終板障害に伴う腰痛の機能解明および新たな治療戦略の探索 | ||
兒玉 祥 | 科学研究費助成事業 | 基盤研究(C)(一般) | 血行を持たせた脱細胞化神経の神経再生誘導能の解明と脱細胞化血管柄付き神経の開発 |
庄司 剛士 | 科学研究費助成事業 | 基盤研究(C)(一般) | 骨壊死症に対する新規治療体系の探索 |
一般社団法人 日本人工関節学会 2024年度 プロジェクト研究課題研究費 |
骨・血管誘導作用を有する新たな人工関節・生体材料の開発 | ||
古田 太輔 | 科学研究費助成事業 | 基盤研究(C)(一般) | 低酸素下でのみ薬剤を遊離作用可能にしたプロドラッグを用いた骨肉腫治療の開発 |
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 医療研究開発推進事業費補助金 令和6年度 「橋渡し研究プログラム」(シーズA) |
低酸素環境応答性ドキソルビシンプロドラッグを用いた骨・軟部悪性腫瘍(肉腫)への治療開発 | ||
原田 洋平 | 科学研究費助成事業 | 基盤研究(C)(一般) | 系統追跡解析を用いた腱板の恒常性維持と治癒における細胞の動態と役割の解析 |
生田 祥也 | 科学研究費助成事業 | 若手研究 | 骨膜幹細胞とペリオスチンに注目した腱修復促進法の探索 |
公益財団法人 日本スポーツ医学財団 2021年度研究助成事業 [2022年度研究開始] |
簡便な足関節固有感覚スクリーニング法の確立を目指した足部・足関節の三次元動作解析による至適課題動作の探索 | ||
公益社団法人 日本整形外科学会 令和6年度 学術プロジェクト研究事業 |
子どものスポーツ傷害予防を目指した足関節位置覚スクリーニング法の確立 | ||
作田 智彦 | 科学研究費助成事業 | 若手研究 | 骨肉腫の根治を目的とした遺伝子組換え水疱性口内炎ウイルス製剤の開発 |
林 悠太 | 一般社団法人 日本損害保険協会 2022年度 交通事故医療特定研究助成 |
高齢の外傷性下肢切断患者に対する活動性調査とリスク評価 | |
公益財団法人 整形災害外科学研究助成財団 令和4年度研究助成 臨床的研究「大正製薬賞」 |
高齢者重症下肢外傷患者に対する術後活動性評価と治療選択へのフィードバック |
再生医療
広島大学整形外科では骨、軟骨、骨格筋、腱、靱帯、神経といった身体の支持や運動を司る器官である「運動器」の再生治療開発の研究を行っています。特に軟骨再生の分野では世界に先駆けて組織工学的手法を用いた軟骨再生の臨床応用を行っています。越智学長が開発し、1996年(当時島根医科大学教授)に臨床応用を開始した自家培養軟骨移植は、少量の軟骨組織から軟骨細胞を分離し、ゲル状のアテロコラーゲンの中での三次元培養によって軟骨様組織を作製し、関節の軟骨欠損部へ移植する方法です。この治療法を広く普及させるために(株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)に技術移転を行い、「自家培養軟骨ジャック®」として2013年4月には保険収載され、一般の保険診療で治療することが可能となりました。ジャック®は同じくJ-TECの自家培養表皮ジェイス®に次いで日本で2番目に保険収載された細胞加工製品です。また、培養表皮はアメリカで開発されたものであることから、ジャック®は日本で開発され、実用化に成功した初めての再生医療用の細胞加工製品と言えます。
さらに、広島大学整形外科では自家培養軟骨移植を越える、より体に優しく、効果の高い治療法の開発を目指して研究を行っています。新しい治療で用いるのは、骨髄中に存在し、軟骨も元になる間葉系幹細胞です。間葉系幹細胞は軟骨細胞に比べて培養での増幅率が格段に高く、培養軟骨移植よりも広範囲な軟骨欠損に応用できる可能性があります。さらに、間葉系幹細胞を培養・樹立するための骨髄液は外来での骨髄穿刺によって容易に採取できることから、自家培養軟骨移植のように軟骨採取時の手術は不要になります。関節軟骨欠損に対する骨髄間葉系幹細胞の移植治療はすでに10年以上前から脇谷教授(武庫川女子大学健康スポーツ科学部)によって行われており、その治療効果や安全性については実証済みです。脇谷教授が行ってきた方法では、自家培養軟骨移植と同様に細胞移植時に関節を大きく展開する必要がありましたが、広島大学整形外科での基礎研究で、従来の軟骨欠損への関節鏡を用いた治療(骨髄刺激法)に加えて間葉系幹細胞を関節内に注入するだけで、軟骨修復効果が促進されることが明らかとなりました。その後シンガポール大学のJames Hui教授によって、同様の方法で臨床研究が行われており、我が国でも広島大学、大阪大学、大阪市立大学、近畿大学、兵庫医科大学、奈良県立医科大学での多施設共同臨床研究として、本治療法を行っています。さらに、広島大学整形外科では越智学長が考案した磁気ターゲッティングという手法を用いた再生医療の研究を行っています。これはナノ粒子の鉄剤などで磁性化し体内に投与した細胞を体外からの磁場でコントロールして、必要な場所へと誘導・集積させる方法です。例えば、関節内に注射した細胞が関節全体に拡散するところを磁場によって軟骨欠損部へ集積させることで、治療効率を高めることができます。これまでに骨、軟骨、骨格筋、脊髄の再生に磁気ターゲッティングを応用した研究論文を発表しており、軟骨再生に関しては「再生医療の実現化ハイウェイ」に採択されています。臨床研究を終了し、今後は先進医療として治療を開始する予定です。