整形外科の入局を希望される女性医師へ

広島大学整形外科では女性医師の入局を歓迎しています

広島大学整形外科学教室には、現在3名の女性医師が所属しており、これまで28名の女性医師が入局され整形外科医として活躍されています。

広島大学整形外科同門会に所属している女性医師
開 業 8名
関連病院勤務 14名
大学病院勤務 3名
大学院生 1名
その他 10名
合計 36名

現在、広島大学整形外科学教室に所属している先生から

私自身、整形外科は男性が行くべきところと思い込んでいました。しかし、そんな心配は全く必要ありませんでした。重いものを持つのは当科自慢のやさしい男の先生方が快く引き受けて下さるので全く心配はいりません。患者さんにとって女性医師は相談しやすいと言われており、これは機能外科として重要なことでもあります。さらに、繊細な手術もたくさんあり、特に顕微鏡を使う手術は女性の方が得意説もあります。自分で言うのもなんですが、整形外科をしている女性医師はかっこいい!一緒に楽しく仕事しましょう!

徳本真矢(平成25年入局)

整形外科はまだまだ男社会です。私も入局するとき、私に向いているかな、やっていけるかなと迷いました。でも今は、整形外科の手術が好き、興味があるというだけでも、私に向いているんだと信じて頑張っています!また整形外科の中にも様々な分野があり、女性医師の皆さんだからこそ活躍できる舞台もあると思います。大変なことも時々はあるけれど、好きな分野ならきっと頑張れますし、刺激的で楽しい毎日が待っています。少しでも興味ある方はいつでもご連絡ください!

谷本佳弘菜(平成27年入局)

私は幼少期からスポーツが大好きで、本格的に競技活動を始めた中学・高校時代には、自らのコンディショニングを通して運動器に興味を持ちました。怪我をして整形外科にかかることもありましたが、思春期真っ只中だった私は、身体診察含め女性特有の悩みも相談しやすい女医さんに診てもらいたいと強く思っていました。その時、整形外科の女性医師が少ないことを知って驚いたと同時に自分と同じように感じている人の力になりたいと思ったことが、整形外科医を志したきっかけです。

実際に医学部での講義・実習や初期臨床研修を通して、全身の様々な運動器疾患に対して外来・入院・手術それぞれで診療を行う整形外科に大変魅力を感じました。その間に広島大学整形外科で活躍しておられる女性の先生方と実際に出会うことができ、また安達教授はじめ先生方皆さんが歓迎してくださり、迷いなく入局を決めることができました。

整形外科医として後期研修が始まってからは、自分の知識・経験不足を痛感しながらも多くの方に支えて頂き、大変充実した毎日を送っています。外来担当となった女の子に「はじめての女医さんとっても嬉しいです」、長期の入院中に不安を多く訴えていた女性に「女性同士だと話しやすくて安心です」と言われた時、100歳を超えて骨折し入院した患者さんが手術・リハビリを乗り越えて「先生、歩けるようになりました」と笑顔でいらっしゃった時など、まだまだ未熟な私ですが少しでも患者さんの力になれたことが大変嬉しく、やりがいを感じております。

私は整形外科入局後に結婚し、現在第一子を妊娠中です。できる仕事が限られてしまうことに最初は戸惑いましたが、どの先生も喜んで下さり、今後家庭と仕事を両立できる道を一緒に考えてくださり、改めて入局して良かったと感じています。今後も広島大学整形外科の女性医師であることに誇りを持ち、日々精進していきたいと思います。

入局を考えている医学生や女性医師の皆さん、ここに書ききれなかった魅力をもっとたくさんお伝えすることができるかと思いますので、気兼ねなく声をかけてもらえたらと思います。

石橋沙織(平成28年入局)

広島大学医学部 整形外科学教室 女性医師の現状と展望

現在、全国的に女性整形外科医も珍しくなくなってきました。整形外科のどの学会でも、女性一人だけということはまずありません。とはいえ、やはり内科や麻酔科ほど、抵抗がなく入局はできないと考えられる方も多いでしょう。

しかし、広島大学の整形外科は女性大歓迎です。また、形成外科やリハビリテーションを専門にしたいと思われる学生さんも、何人も入局されてきました。我が教室に入局された女性医師の方々をここで紹介し、現在のご活躍の状況をお話したいと思います。

わが整形外科に、最初に女医さんが入局されたのは昭和56年です。ただ、この先生はご主人の転勤に伴われて広島に移ってこられた方で、整形外科医としてのキャリアはすでに長く、広大で研修を積まれたわけではありません。ですが、女性医師の受け皿としては20数年前すでにあったのです。前述の先生は現在も療育センターで精力的に働いておられています。

次いで昭和57年に女医さんが入局されました。女性整形外科研修医第一号です。今と違って、当時はいろいろな意味で障害のあった時代だと思いますが、以前お会いしたときに、多くの諸先輩に助けられここまでこれたと語っておられました。現在は個人病院でご勤務されています。

平成4年、そして5年に、立て続けに形成外科志望の先生が入局されました。お二人とも、昭和大学の形成外科で修行をつまれました。お一人は広島に帰られて現在も二児のお子さんを育てながら、整形外科病院でご勤務されています。もうお一人は、昭和大学形成外科の元講師の先生とともに、表参道にクリニックを立ち上げられました。そのクリニックは雑誌やテレビにも、たびたび紹介されています。

平成7年には、初めてリハビリテーション専門医を志す女医さんが入局されました。数年広島で研修された後、慶応大学のリハビリテーション科で経験を積まれ、見事難関のリハビリテーション専門医に合格されました。現在は大阪府のリハビリテーション病院でご勤務されています。

平成9年は私を含む整形外科医志望の2人、およびリハビリテーション医志望の3人の計5人の女医が入局しました。女医の入局が最も多かった年です。リハビリテーションの3人は2年間整形外科、循環器内科、呼吸器内科、神経内科、精神科を学んだ後、それぞれ北海道大学、東海大学、関西労災病院のリハビリテーション科で経験を積まれ、現在3人ともリハビリテーション専門医となり、兵庫県、神奈川県、そして広島市で活躍しております。

整形外科の2人は数年間関連病院で勤務した後、2人が同時に大学院に進み、お互いに励ましあい切磋琢磨できました。
平成10年にも、整形外科医志望の2人の女医さんが誕生しました。2人とも結婚、出産しましたが、家庭と仕事を上手く両立させています。一人は博士号も取得しております。

さらに平成12年から16年にかけて、毎年1名ずつ次々に整形外科、形成外科志望の先生が入局されました。形成外科の先生は1年間東京大学形成外科で学ばれました。また、大学院に入られて研究されている先生もいらっしゃいます。

出身大学が広島大学でないことを気にされる方がいらっしゃるかもしれませんが、先に述べた先生方の半分は他大学出身の先生です。これは皆さん口をそろえて仰いますが、出身大学は良い意味で全く考慮されていないと思います。 以上、当科に入局された女医さんの歴史をまとまりなく述べましたが、言いたいことは、女性でも整形外科医を、形成外科医をそしてリハビリテーション医を志して欲しいということ、さらには広島大学に入局していただければ将来の展望も開けるということです。 是非、我が教室へ。

當天賢子(平成9年入局)

「仕事も育児も」

この度3人目の子供の出産のため産休に入り、ほっと一息つきながら大学での生活を振り返ってみました。
子供ができてからは、育児をしながら自分にどこまで仕事ができるのか、どこまでするべきなのか、ずっと迷い、悩む毎日です。大学院在学中は、他の院生の様に研究と臨床が同時にはできず臨床免除にしてもらい、留学の際も、研究留学中の主人に合流したため特別扱いとなり、申し訳ない気持ちでした。昨年春に大学院を卒業してから大学病院の医科診療医にしていただき、現在手の外科チームの一員として、臨床の勉強をさせてもらっています。

今日、全国的にも女性医師がどんどん増えていますが、結婚・出産を機に仕事を辞めたり休んだりする人も多く、医師不足に拍車をかけているのが現状なのかもしれません。実際、仕事と育児の両立というのは、言うほど簡単ではありません。医師に限らず、育児をしながら働く人皆に言えることだと思いますが、一人一人、生活スタイルや家族によるサポート環境も違うので、一概に何が必要とは言えず、オーダーメイド援助が必要になります。働こうと思えば、広島にも24時間託児所があり、夜のお泊まり保育なども頼めるので、緊急対応も当直も物理的には可能・・・ですが、子供のことを考えると、今の私にはそこまでできません。

私は今、家族、保育園、延長保育、ベビーシッターなどに頼りながら、なんとか最低限の仕事・勉強はしたいと思い働いています。臨床を少し休んでいた時、短時間でも自分の存在価値のある仕事をしたい、そんな気持ちを抱くようになりました。専門をもち、ひとつでもいいから人に頼まれるような特殊なことができるようになりたいと思いました。手の外科は、長時間にわたる大手術もありますが、日帰り手術もたくさんあり、時間に制限のある私でも担当できる仕事が比較的多く、とても勉強になります。患者さんも乳児からお年寄りまで多岐にわたります。外来も手術も、少しブランクのある私には刺激的で楽しくて仕方ありません。子供がいると参加できる学会も限られますが、大学には海外からのお客さんも多く、英語の講演を聞くチャンスもあります。また、論文執筆や学会発表の機会にも恵まれ、アカデミックな世界に触れていたいと思う私にとって、大学はとても魅力的な職場で、ここで働けることはとても幸せだと感じています。

時間的な制限に加え、突然の早退や欠勤などで周りに迷惑をかけることも多く、心苦しく思うこともありますが、安達教授をはじめ医局の先生達、砂川先生を中心とした手の外科チームの先生達、さらに看護師、秘書の方々を含む皆が暖かく対応してくださり、感謝の気持ちで一杯です。母親が活き活きと楽しく働く姿は、きっと子供の成長にもプラスになると思いますし、何より自分が充実した日々を過ごすことが、楽しい育児につながっていると信じています。

今後多くの女性医師が、広島大学整形外科学教室の門をもう少し気軽にたたけるよう、これからも笑顔を忘れず頑張っていこうと思います。

広島大学女性医師支援センター 副センター長 中島祐子(平成10年入局)

入局・研修について