整形外傷診療について

診療体制

三次救急外傷症例の大半に整形外傷が合併しています。重症外傷治療では初療のスピードと質が求められます。生命予後だけでなく、機能予後を改善させるためには整形外科疾患に関しても初療からの積極的な関与が必要です。当科には3名の整形外科専門医が専属で所属しており、初療から手術、術後管理までを一貫して行っています。すべての整形外傷に関して当科内で治療を完結できることが強みです。

診療体制

多発外傷

PTD(Preventable Trauma Death:防ぎえた外傷死)を回避するには整形外傷のコントロールが必要です。患者が病院に到着する前から機器や手術準備を整え、全身管理と並行して治療介入を行います。初療時に初回手術から最終手術までの治療戦略を救急医と共有し、DCS(Damage Control Surgery)を行います。1日でも早く患者さんを起こし、離床させることで合併症を予防します。さらに患者ごとのベストなタイミングでの治療介入を行うことでPTD(Preventable Trauma Disability:防ぎえた外傷機能障害)を回避します。

多発外傷

体幹外傷

脊椎や骨盤、あるいは胸郭といった体幹部の外傷は直接命に関わることがあります。そのため、これらに対して迅速かつ的確に対応することが外傷医には求められます。また、回復後の患者様の社会復帰にも大きく影響するところですので、当科ではこれら体幹部外傷に対しても初療から手術、その後のfollowまで科内で一貫して行う体制を取っています。

体幹外傷

重度四肢外傷

重度四肢外傷には重症開放骨折、四肢切断、手指切断が含まれます。これらはかつて切断や断端形成の適応であり、救肢しても感染合併などにより重篤な後遺症を残すことが普通でした。現在では治療法の発達により、救肢だけでなく高い機能回復を狙うことが可能となっていますが、複雑な機能再建手術が可能な技術を持ち外傷治療を熟知した整形外科医と、治療戦略を共有し高度な全身管理ができる救急医が一丸となって診療を行う施設でしかそのような劇的な治療はできません。当科は全国でも有数の機能再建センターであり、重症四肢外傷に対する治療を日常的に行っています。

重度四肢外傷